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追証(おいしょう)とは、追加証拠金の略で、保有している取引に必要な証拠金が不足した場合に、その不足を解消するよう求められることです。
FXでは、相場が予想と反対に動いて含み損が増えるなどすると、証拠金が不足する場合があります。追証の判定基準、対応期限、解消方法は業者によって異なります。
また、「追証」という言葉は、決済後に口座残高がマイナスになり、その不足分の入金を求められる場面でも使われることがあります。ただし、取引を維持するための追加証拠金と、決済後の不足金は区別して理解する必要があります。
この記事では、追証の仕組み、ロスカットや不足金との違い、通知を受けたときの確認事項を初心者向けに解説します。
追証とは?取引に必要な証拠金の不足を解消する仕組み

FXでは、取引の担保として証拠金を預けます。保有している未決済の取引を「ポジション」と呼びます。
ポジションに含み損が生じるなどして、業者が定める基準に対して証拠金が不足すると、追加証拠金が発生する場合があります。
重要なのは、追証は、口座残高がマイナスになってからだけ発生するものではないという点です。口座に資金が残っていても、保有する取引に必要な金額を下回れば、追加証拠金の対象になる場合があります。
例えばDMM FXでは、毎営業日の判定で証拠金維持率が100%を下回ると追加証拠金が発生し、期限までに入金やポジションの決済等で解消する制度を設けています。これは同社のルールであり、すべてのFX業者に共通する基準ではありません。DMM FX:追加証拠金制度
証拠金の基本は、証拠金とは?取引に必要な担保金の仕組みも参考にしてください。
追証・不足金・ロスカットの違い
FXの資金管理では、似た言葉が使われます。まずは役割を整理しましょう。
| 用語 | 主な意味 |
|---|---|
| 追証・追加証拠金 | 保有する取引に必要な証拠金の不足を解消するための追加資金等 |
| 不足金 | 決済損などによって口座資金では足りなくなった金額 |
| マージンコール | 証拠金の不足や低下に関する警告・通知。意味や対応は業者による |
| ロスカット | 業者の定める基準に従ってポジションを強制決済する仕組み |
これらが必ず同じ順番で発生するわけではありません。追加証拠金制度の有無、通知の名称、判定タイミングなどは業者によって異なります。
追加証拠金は、保有中の取引に関する不足
追加証拠金は、保有ポジションに必要な証拠金が足りない場合に発生するものです。
業者のルールによっては、入金だけでなく、ポジションの一部または全部の決済によって解消できる場合があります。
不足金は、決済しても残る場合がある
不足金は、決済によって確定した損失などが口座資金を上回った場合に生じます。
例えば、口座資金が10万円で、決済によって13万円の損失が確定したと仮定すると、差額の3万円が不足します。
この場合、すでにポジションを決済していても、不足分の支払いが残る場合があります。取引を終えれば、すべての不足がなくなるとは限りません。
外為どっとコムも、急変動などで預けた保証金を上回る損失が生じ、不足金が発生した場合には追加入金が必要と説明しています。外為どっとコム:ロスカットルールと注意点
※上記の金額は説明用の仮定です。実際の不足金には、手数料やその他の口座処理が影響する場合があります。
追証と証拠金維持率の関係
証拠金維持率は、保有する取引に必要な証拠金に対して、どの程度の資金があるかを示す指標です。
一般的には、次のような式で表されます。
証拠金維持率(%)=有効証拠金÷必要証拠金×100
有効証拠金は、口座資金に含み損益などを反映した金額です。単に入金した金額や、含み損益を反映しない口座残高とは異なります。
名称や計算に含める項目は業者によって異なるため、取引画面と公式の説明を確認してください。
証拠金が不足する例
以下は、必要証拠金を8万円とする単純化した例です。
| 有効証拠金 | 必要証拠金 | 証拠金維持率 |
|---|---|---|
| 10万円 | 8万円 | 125% |
| 8万円 | 8万円 | 100% |
| 7万円 | 8万円 | 87.5% |
仮に、判定時点で維持率100%を下回ると追加証拠金が発生するルールなら、有効証拠金7万円の状態では、必要証拠金に対して1万円不足しています。
ただし、この表の差額が、そのまますべての業者の請求額になるわけではありません。判定価格、計算方法、解消に充てられる金額などは業者のルールに従います。
「維持率が何%なら安全か」「何%で追証になるか」は、一律には決められません。
追証が発生する主な要因
相場が予想と反対に動いて含み損が増える
買いポジションなら値下がり、売りポジションなら値上がりによって、含み損が増えます。
含み損が有効証拠金に反映され、必要な証拠金に対する余裕が小さくなると、追加証拠金の対象になる場合があります。
証拠金に対して取引数量が大きい
同じ値動きでも、取引数量が大きいほど損益額は大きくなります。
レバレッジを考えるときは、業者が提供する上限倍率だけでなく、実際にどれだけの数量を保有しているかが重要です。
同じ取引数量なら、同じ価格変動による損益額は基本的に同じです。「レバレッジ倍率を変更しただけで、損失額がその倍率分さらに増える」という意味ではありません。
数量については、ロットとは?取引数量の単位を理解するで解説しています。
必要証拠金や口座資金が変化する
含み損の増加だけでなく、必要証拠金の変動、出金、支払いとなるスワップポイントなどで、証拠金の余裕が小さくなる場合があります。
ポジションの追加や出金を行うときは、操作後の口座状態も確認してください。
追証の通知を受けたら確認すること
1.何の不足なのかを確認する
通知が追加証拠金に関するものか、決済後の不足金に関するものかを確認します。
確認したい項目は次のとおりです。
- 不足の種類と金額
- 判定された日時
- 対象となる口座・ポジション
- 対応期限
- 認められる解消方法
- 期限までに対応しなかった場合の処理
通知メールだけで判断せず、公式の取引画面や案内で確認しましょう。不明な点は業者のサポート窓口へ問い合わせます。
2.入金以外の解消方法も確認する
追加証拠金は、業者によってポジションの決済等で解消できる場合があります。
ただし、どの程度決済すれば解消するかは、単純に含み損の額だけでは判断できません。業者が定める計算方法を確認する必要があります。
また、追加証拠金の解消と、決済後の不足金の支払いは別です。入金が必要かどうかを混同しないようにしましょう。
3.期限までに「反映」される必要があるか確認する
入金手続きを開始した時刻と、取引口座へ反映された時刻は異なる場合があります。
銀行の受付時間、振込方法、メンテナンスなどによって、反映に時間がかかることもあります。期限の条件が、手続き完了なのか口座への反映なのかを確認してください。
4.相場が戻っただけで解消したと思わない
追加証拠金の発生後に相場が回復しても、業者のルールによっては解消扱いになりません。
例えばDMM FXでは、発生後にレート変動で維持率が100%以上へ戻っても、それだけでは追加証拠金の解消にならないとしています。DMM FX:相場回復後の追加証拠金の扱い
口座の維持率だけでなく、追加証拠金額や解消状況の表示も確認しましょう。
ロスカットがあっても不足金は発生する?
ロスカットは、損失の拡大を防ぐために業者がポジションを強制決済する仕組みです。しかし、損失を必ず預けた証拠金の範囲内に収める保証ではありません。
相場が急変すると、ロスカットの判定から決済までに価格が動き、想定より不利な価格で約定する場合があります。
金融庁も、急激な相場変動時には、ロスカットルールが適用されても証拠金を上回る損失が生じる場合があると説明しています。金融庁:外国為替証拠金取引について
また、追加証拠金を期限までに解消しなかった場合の強制決済と、通常のロスカットでは、判定条件や名称が異なる場合があります。
「ロスカットがあるから追証も不足金も発生しない」と考えず、それぞれのルールを確認してください。
「追証なし」とゼロカットをどう理解する?
「追証なし」という説明では、何を求められないのかを確認することが重要です。
- 保有中の取引に関する追加証拠金なのか
- 決済後に口座がマイナスになった場合の不足金なのか
- どの口座・商品・取引に適用されるのか
ゼロカットは、口座のマイナス残高をゼロに戻す仕組みとして説明されることがあります。ただし、適用条件や対象は提供する業者の契約・規約によります。
追加証拠金制度がないことと、決済後の不足金を請求されないことは、同じではありません。 「追証なし」という短い説明だけで、損失の上限を判断しないようにしましょう。
また、ゼロカットの説明があることだけで、出金対応や資金管理など、業者全体の安全性は判断できません。
金融庁は、海外のライセンスを持つ業者であっても、日本で登録を受けずに日本居住者に対して金融商品取引を業として行うことは禁止されていると注意喚起しています。利用先の登録状況は、制度の説明とは別に確認する必要があります。金融庁の注意事項
追証や不足金のリスクを抑えるための考え方
取引数量と証拠金の余裕を確認する
注文前に、取引数量、必要証拠金、相場が反対に動いた場合の損失を確認します。
証拠金を追加すれば口座の余裕が増える場合はありますが、保有数量を変えなければ、同じ値動きによる損益額は変わりません。入金を繰り返すだけで、取引自体のリスクがなくなるわけではありません。
損切りの条件を考えておく
逆指値注文などを使って、損切りの条件を事前に設定する方法があります。
ただし、指定した価格での約定や損失額は保証されません。急変動時には、想定を超える損失が生じる可能性があります。
業者の判定ルールを取引前に確認する
追加証拠金の判定日時、ロスカット基準、期限、入金の反映条件を、取引を始める前に確認しましょう。
基準は業者によって異なり、変更される場合もあります。一般的な用語解説だけでなく、利用する口座の最新の取引説明書を読むことが大切です。
追証についてよくある質問
追証は口座残高がマイナスになると発生するのですか?
追加証拠金は、残高がマイナスになる前でも発生する場合があります。
保有する取引に必要な証拠金が不足することと、決済後に口座がマイナスになることは別です。通知の名称と発生理由を確認してください。
追証はいくらになりますか?
追加証拠金の額は、業者の判定基準と計算方法によって決まります。必ず「口座残高のマイナス分」になるわけではありません。
決済後の不足金については、確定した損失や口座資金などに基づく金額を確認します。
追証を解消しなかったらどうなりますか?
追加証拠金を期限までに解消しない場合、業者のルールに従ってポジションが強制決済されることがあります。
決済後に不足金が残れば、別途支払いを求められる場合があります。対応できないときや請求内容に疑問があるときは、通知を放置せず業者へ連絡してください。
ポジションを決済すれば追証は解消しますか?
業者のルールによっては、ポジションの決済で追加証拠金を解消できます。ただし、必要な決済数量や解消に充てる金額の計算を確認する必要があります。
決済によって口座資金を上回る損失が確定した場合、その不足金までなくなるわけではありません。
海外FXなら追証がないのですか?
海外FXという区分だけでは判断できません。
追加証拠金の有無、マイナス残高の扱い、適用条件は業者・口座によって異なります。ゼロカットという名称だけで、あらゆる請求がなくなるとは考えないようにしましょう。
まとめ:追証は「何が不足したのか」を分けて理解する
追証は追加証拠金の略で、保有する取引に必要な証拠金が不足した場合に、その解消を求められる仕組みです。
押さえておきたいのは、次の5点です。
- 口座残高がマイナスになる前でも発生する場合がある
- 追加証拠金と、決済後の不足金は別のもの
- 判定基準、期限、解消方法は業者によって異なる
- 相場が回復しても、自動的に解消されるとは限らない
- ロスカットや損切り注文は、損失額を保証しない
通知を受けたら、不足の種類、金額、期限、対応方法を確認してください。
追証の理解を深めるには、証拠金の仕組み、ロットと取引数量、レバレッジの意味も併せて確認すると役立ちます。
※本記事は用語の理解を目的とした情報提供です。特定の取引や利益を保証するものではありません。FXでは預けた証拠金を上回る損失が生じる場合があります。請求内容や対応条件は、利用する業者の契約・取引説明書・公式通知で確認してください。
✅ 編集長監修
祥吾
FX歴15年。専門用語につまずいた経験をもとに、初心者にもわかりやすい用語解説を専門に発信している。

