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ロスカットとは、FX会社が定めた基準に達したとき、保有中の取引を強制的に終わらせる仕組みです。
「自分では売買を終える操作をしていないのに、取引が終わっていた」という場合、ロスカットが行われた可能性があります。
目的は、損失の拡大を抑えることです。ただし、損失を消してくれたり、預けたお金を必ず守ってくれたりする仕組みではありません。
この記事では、ロスカットで何が起きるのかを身近なたとえで説明し、自分で行う損切りとの違いや、決済後の確認事項を整理します。
ロスカットとは?会社のルールで取引が終了すること

FXでは、買いや売りから始めて、まだ終えていない取引を「ポジション」と呼びます。
その取引を終え、利益や損失を確定させることが「決済」です。
ロスカットでは、会社のルールに従って、保有中のポジションが自動的に決済されます。これが「強制決済」と呼ばれる理由です。
たとえば、米ドル/円を買っていた場合、その買いポジションを売って取引を終えます。売りポジションを持っていた場合は、買い戻して終えます。
自分が「まだ待ちたい」と考えていても、基準に達すれば決済の対象になります。
なお、投資の会話では、自分で行う損切りを「ロスカット」と呼ぶ場合もあります。この記事では、FX会社のルールによる強制決済を説明します。
身近なたとえ:危険な状態になると動作を止める機械
ロスカットは、機械の自動停止機能にたとえると理解しやすくなります。
たとえば、温度が上がりすぎたときに、自動で動作を止める機械を想像してください。
使っている人が「もう少し動かしたい」と思っていても、決められた温度に達すると停止します。
FXのロスカットも、利用者の希望とは別に、会社が定めた条件で取引を終わらせる仕組みです。
ただし、機械が停止しても、それまでに起きた故障が元に戻るわけではありません。同じように、ロスカットが行われても、それまでの損失はなくなりません。
さらに、相場が急に動くと、想定より不利な価格で決済される場合があります。「自動で止まるから、損失額も必ず予定どおり」とは考えないことが大切です。
ロスカットは、どのような流れで起きる?
基本的には、次のような流れです。
- 買い・売りの取引を保有する
- 不利な値動きなどで、口座の資金状況が悪化する
- FX会社がロスカットの条件に達したと判定する
- 会社のルールに従って、取引が強制的に決済される

判定には「証拠金維持率」などが使われます。証拠金維持率は、取引を維持するために必要な金額に対して、口座の資金がどれくらいあるかを表す割合です。
ただし、発動する水準や判定方法、どの取引を決済するかは、FX会社・サービスによって異なります。
たとえば、DMM FXは、証拠金維持率が50%以下になると、未約定の注文を取り消し、すべての未決済ポジションを事前通知なく決済するルールを説明しています。これは同社の例であり、すべての会社に共通する基準ではありません。
DMM FX公式:ロスカットの仕組み ※外部リンク
証拠金維持率の計算と数字の読み方は、次の記事で詳しく説明しています。
警告が来てから対応できるとは限らない
会社や設定によっては、資金状況の悪化を知らせる通知があります。
しかし、「警告を受け取る→入金する時間がある→その後にロスカット」という順番が保証されているわけではありません。
相場の急変や通知の確認遅れなどにより、通知を見る前に決済される場合もあります。
ロスカットと、自分で行う損切りの違い
損切りとは、損失が出ている取引を終え、それ以上の損失拡大を抑えようとすることです。
ロスカットと自分で行う損切りは、取引を終える点では似ていますが、判断する基準が違います。
| 比較する項目 | 自分で行う損切り | FX会社のロスカット |
|---|---|---|
| 判断の基準 | 自分が決めた条件 | 会社が定めた条件 |
| 決済する方法 | 手動の決済や、事前に出した注文 | 会社のルールによる強制決済 |
| 主な目的 | 自分の計画に沿って損失を管理する | 損失の拡大を抑える |

たとえば、「この価格まで下がったら買いの取引を終える」と、自分で決済条件を決めるのが損切りの考え方です。
一方、ロスカットは、自分の計画とは別に会社の基準で行われます。
逆指値注文などで損切りを予約する方法もありますが、相場が急変すると、指定した価格からずれて成立する可能性があります。損切り注文も、損失額の保証ではありません。
ロスカットが起きると、残高はゼロになる?
ロスカットは、口座残高をゼロにする処理ではありません。
取引が決済され、その結果の損益が口座に反映されます。
たとえば、口座に10万円あり、すべての取引を決済した結果、合計7万円の損失が確定した場合、残る金額は3万円です。
10万円−7万円=3万円

※入出金や手数料などを省いた説明用の例です。実際の発動条件や決済価格を示すものではありません。
反対に、相場の急変などで決済が想定どおりに進まず、損失が預けた証拠金を上回る可能性もあります。
金融庁も、ロスカットルールが適用されても、急激な相場変動によって証拠金を上回る損失が生じる場合があると説明しています。
金融庁公式:FX取引のリスクとロスカットルール ※外部リンク
ロスカットと追証は、同じものではない
ロスカットと追証は、別の仕組みです。
- ロスカット:会社の基準によって、取引を強制的に終える
- 追証:証拠金の不足によって、追加の差し入れなどを求められる
追証は、口座残高がマイナスになった場合だけに発生するものではありません。また、追証の不足を期限までに解消しなかったことによる強制決済を、通常のロスカットとは別の名称で扱う会社もあります。
たとえば、DMM FXでは、維持率低下による「ロスカット」と、追加証拠金が期限までに解消されない場合の「マージンカット」を区別しています。
DMM FX公式:ロスカットと追加証拠金の違い ※外部リンク
不足への対応や期限については、次の記事で確認してください。
ロスカット後に確認したい3つのこと
1.どの取引が、いくらで決済されたか
約定履歴や取引履歴で、対象の通貨ペア、数量、決済価格、確定した損益を確認します。
「全部の取引が終わった」と思い込まず、保有中のポジションが残っていないかも確認してください。
2.口座の資金と注文の状態
口座残高や資産状況、入出金の履歴を確認します。
また、未約定の注文が取り消されたのか、まだ残っているのかも、画面と会社のルールで確認してください。
3.会社からの通知や不足金の案内
不足金や追加の対応に関する案内が出ていないか確認します。
表示の意味や履歴に不明点がある場合は、利用するFX会社に問い合わせてください。確認が済む前に、損失を取り戻そうとして新たな取引を急ぐ必要はありません。
ロスカットについてよくある質問
ロスカットされた取引は、元に戻せますか?
決済が成立した取引を、自分の操作で決済前の状態へ戻すことはできません。
同じ方向に新しく注文を出しても、それは別の取引です。以前の価格や損益が引き継がれるわけではありません。
ロスカットの直前に入金すれば間に合いますか?
必ず間に合うとは限りません。
入金が口座へ反映されるまでの時間や、その間の値動きによっては、反映前にロスカットされる可能性があります。
ロスカットは、決められた価格で成立しますか?
会社の発動条件と、実際の決済価格は分けて考える必要があります。
条件に達しても、相場の急変などで想定した価格から離れて決済される場合があります。
価格のズレについては、次の記事で説明しています。
まとめ:ロスカットは、会社の基準で取引を終える仕組み
ロスカットを理解するときは、次の点を押さえましょう。
- FX会社の基準に達すると、保有中の取引が強制的に決済される
- 自分で行う損切りや、追証とは役割が違う
- 発動する条件や決済対象は、会社・サービスによって異なる
- 事前の警告や、決済価格が保証されるわけではない
- 決済後は、取引履歴・資金・残った注文・通知を確認する
ロスカットは損失の拡大を抑えるための仕組みですが、損失の上限を保証するものではありません。
取引前に会社のルールを確認し、ロスカットを待つことと、自分で損失を管理することを分けて考えましょう。
✅ 編集長監修
祥吾
FX歴15年。専門用語につまずいた経験をもとに、初心者にもわかりやすい用語解説を専門に発信している。

